現在、病院、診療所、クリニックなどからの紹介状がない場合や、緊急上やむを得ない場合(救急車での搬送など)以外の事情で、米沢市立病院で受診した場合は、診療費に加えて「非紹介患者初診料加算」7,000円が加算される。
(写真右=記者会見する近藤洋介市長)
近藤洋介米沢市長は、10月28日に行った記者会見で、米沢市立病院小児科については、令和7年1月から当面の間、「非紹介患者初診料加算」を徴収しないと発表した。
その理由として、医療の担い手である医師、看護師の不足が続いている中で、特に米沢市における小児科開業医不足が深刻であることをあげた。現在、小児科開業医の診療所は市内に4箇所あるものの、そのうち1箇所は、令和6年12月で閉院を予定しているほか、残る3院についても医師の高齢化が進んでいる状況で、米沢市医師会によれば、開業医が閉院する平均年齢は70歳前半だという。このまま進行すると、市内の小児科医はあと5年後に不在になってしまう恐れがある。
近藤市長は、「大切な子供たちの安全、安心を守るため、非紹介患者初診料加算の7,000円を徴収しない決断をした。安心して米沢市立病院を利用して頂きたい。」と述べた。
非紹介患者初診料加算は、身近なかかりつけ医と専門的な医療を提供する市立病院のような総合病院との住み分けを図り、医療機能の分化、連携による医療資源の効率的な活用を目指すために行われているもので、現在の米沢市における小児科医の危機的な状況や、米沢市内の家庭で、中々、市内の病院の予約が取れず、市外の病院に通っているという声がある状況を踏まえて、「非紹介患者初診料加算」を小児科については徴収しないとする背景を説明した。
(写真上=米沢市立病院)
現在、米沢市立病院には4名の小児科医がいて、令和5年度は小児科では70件(49万円分)の「非紹介患者初診料加算」があった。徴収しない期間は「当面の間」と述べ、どれくらい継続するかは状況次第だと述べるにとどまた。米沢市立病院小児科での「非紹介患者初診料加算」を徴収しないことにより、小児科診療費の無料と併せて、小児科に関しては、米沢市内の病院、診療所、クリニックなど、どの医療機関でも完全無料化となる。
米沢市では、令和6年5月から市内に小児科を新たに開業、または医業を承継した医師に対して、(第三者承継及び親族間承継を含む)、開業等に係る経費の一部として、上限1,000万円(補助対象経費の3分の2以内)を補助する県内の自治体では初の試みである支援事業をスタートした。現在、具体的な案件はないとしているが、積極的なPRを進めながら小児科医の開業に向けて尽力したいとしている。