高畠混声合唱団(大場三枝会長)は、11月10日、高畠町文化ホール「まほら」大ホールで第25回記念演奏会を開催した。800席の会場はほぼ半分の400席が埋まり、演奏者や観客は芸術の秋の1日を楽しんだ。高畠町の髙梨忠博町長や遠藤正真教育長の顔も見えた。今回の演奏会には、同合唱団の常任指揮者である金子研司氏が指導している関係もあり、南陽市合唱団「銀杏」を迎えての合同演奏も行われた。
(写真左=司会を務めた鈴木さん)
オープニングは、高畠混声合唱団による「明日へ続く道〜高畠中学校イメージソング〜」と「たかはた讃歌」を演奏した。「たかはた讃歌」の作詞は昨年逝去された同町和田の星寛治氏、高畠町立時沢小学校の校長だった佐藤文昭先生が作曲したもので、平成19年(2007)に完成した。まほろばの里としてPRしている高畠町を、その自然景観の美しさを高らかに歌いあげている曲で、高畠町の中学校が統合する前は、4つの中学校3年生が歌い継いできた。高畠混声合唱団は、9月14日に行われた「高畠町芸術文化祭2024」の皮切りとして行われた「たかはた町民音楽祭」でも同曲を披露したが、この日はさらに磨きがかかって、まとまりのある演奏に仕上がった。
第1部は、高畠混声合唱団が、混声合唱のための「宮崎駿 アニメ映画音楽集」より、6曲を演奏した。第3曲の「さんぽ」、第5曲「やさしさに包まれたなら」(荒井由美 作詞・作曲)など、お馴染みのメロディーで思わず口ずさみたくなる。団員はカラフルなシャツを着て演奏、会場は和やかなムードに包まれた。金子研司氏の指揮はいつも以上にノッている、あるいは合唱団をノセているようだ。
第2部は、南陽市合唱団「銀杏」と高畠混声合唱団有志による、混声合唱のための組曲「南陽讃歌『白竜湖』」よりを演奏した。錦三郎氏の詩に安達弘湖氏が作曲したもので、この日は「夕空のかなたへ」とフィナーレの曲「はるかな みどりの空へ」の2曲が演奏された。南陽市合唱団「銀杏」からすれば、「南陽讃歌『白竜湖』」はまさに自分たちの持ち歌とも言えるもので、ソプラノ、アルト、テノール、バスまで、バランスの良い声量とハーモニーで、実に歌い慣れていると思わせる落ち着いた演奏だった。「はるかな みどりの空へ」では、段々と音楽が深まり、盛り上がっていき、最後にクライマックスを迎えた。平成19年12月9日に南陽市民文化会館で行われた南陽市制40年記念演奏会「南陽讃歌『白竜湖』」のCDを持っていて聴いているが、その時は山形交響楽団で、指揮は作曲者の安達弘湖氏だった。オーケストラによる伴奏はそれなりに迫力があるが、今回のようにピアノ伴奏での生演奏を聴いてみるのも実にいいものだ。改めて、「南陽讃歌『白竜湖』」の作品のすばらしさを再認識した。指揮は錦三郎氏の身内である錦孝子さん、ピアノは南陽市出身で現在は米沢市に在住している、おおはざましゅこさん。
第3部は、高畠混声合唱団による、混声合唱とピアノのための組曲「みやこわすれ」(野呂昶作詞、千原英喜作曲)で、第2曲の「はっか草」の中の歌詞に、「母は私に、はっか草のような人になりなさい」というのがあった。曲からはっか草の匂いが漂ってくるような、秋にふさわしいしっとりとした歌いぶりで、観客からは万雷の拍手が送られた。金子研司氏の指揮と小野弘子さんのピアノ伴奏も見事でとても息があっていた。
第4部は、高畠混声合唱団、南陽市合唱団「銀杏」、天童混声合唱団有志の計60名がステージに登場した。指揮は金子研司氏とピアノは小野弘子さん。
混声合唱組曲「筑後川」(丸山豊作詞 團伊玖磨作曲)より「河口」では、まずイントロ部分のピアノがとても大胆に、印象的なリズムで音を刻んでいく。筑後川のゆっくりとした流れとその川の周辺の景色の雄大さを感じさせる音楽が紡がれていく。まさに合唱の醍醐味を感じさせてくれる曲だった。
今年は高畠混声合唱団をいろいろな場所で何度か聴く機会があったが、第25回記念演奏会は、今年最後の演奏会にふさわしい内容と出来映えだったようにと思われる。合唱団メンバーの高齢化や減少などの課題があるとも聞くが、来年の同合唱団のさらなる飛躍を期待したい。