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人口減少などによって増加している空き家は、倒壊の危険性、防犯や景観上などで地域の問題となっている。しかし、空き家の売買及び処分が進まない大きな要因の一つに家財の整理がある。
米沢市が令和6年4月15日から7月30日に行った管理不全空き家等に対する法的措置は、調査件数415件(CDランク、まちなかの物件)のうち、指導文書169件(調査物件415件の約41%)、勧告文書110件(指導物件169件の約65%)、措置完了74件(指導部件169件の約44%)となっている。
そうした中、米沢市六郷町にある株式会社横山興業は、社会貢献事業として米沢市と連携して、所有者不在空き家を無償で年1件解体する申し出を米沢市に行い、昨年11月19日に両者の連携協定が締結された。
その後、米沢市内にある株式会社福副(代表取締役 渡邉豪氏、米沢市大町4丁目)及び中央清掃有限会社(代表取締役 横山雄基氏、米沢市大字花沢)より、株式会社横山興業と市の連携協定に基づく事業で、空き家解体の際に発生する家財や一般廃棄物の処分を社会貢献事業として無償で実施したいとの申し出を受け、3月26日、米沢市との連携協定を締結した。
米沢市役所で行われた協定締結には、近藤洋介米沢市長、株式会社福副の渡邉豪代表取締役、中央清掃有限会社の横山雄基代表取締役などが出席し、3者が協定書に署名した。
(写真左から横山雄基氏、近藤市長、渡邉豪氏)
協定書は、所有者等が不在である空き家等の相続財産清算人等の選任、空き家等の家財の処分、一般廃棄物の処分等について、連携・協力することを定め、米沢市は解体対象空き家の相続財産清算人等の選任の申立てや裁判所、清算人等との調整、一般廃棄物の処分費の減免処理(清算人等が支払い可能であれば行わない)、空き家の家財整理に関する相談会の開催準備、広報を行う。また清算人への費用などのため、米沢市は、発注ではなく予納金として納める。(土地が売却されれば、米沢市が支払った予納金が戻ってくる可能性がある。)
(株)横山興業は、清算人との調整、空き家の解体の実施(無償解体)、(株)福副は。清算人との調整、家財の処分(リユース)、空き家の家財整理に関する相談会の実施、中央清掃(有)は、清算人との調整、一般廃棄物の運搬及び処分、空き家の家財整理に関する相談会の実施を行う。
空き家の選定は、所有者不在の空き家を対象とし、毎年市と(株)横山興業で協議して選定するもので、全国的にもこのような取組み事例はないと米沢市では話している。
解体する空き家の選定条件としては、
①老朽化、損壊などにより地域で問題となっている空き家。
②今後、売却、活用されるなどの見込みのないもの(無接道、異形土地等)。
③空き家を解体することにより、当該土地の売却、活用が見込まれる。
④将来、米沢市が代執行による解体を検討しなければならないことが想定される。
ただし、所有者がいる空き家は、公平性や選定方法の面で難しいとしている。
令和7年分の(株)横山興業による空き家の解体の選定は終了しており、夏以降に解体を実施する予定。解体する案件によっては、隣接者などヘの土地の売却等の調整も米沢市が行う。
協定締結が完了後、近藤市長は「空き家問題は隙間の部分があり、民間企業だけでは難しく、官民で協力することで一歩進められる。連携を一つのモデルとして、取り組むことができればありがたい。空き家の有効活用に取り組んでいきたい」とあいさつした。
株式会社福副の渡邉社長も、「今回の連携協定は、全国的にも例がない先進的なことで、誇りを持っている。戴いた役割をきっちり果たし、空き家問題に何かできるのではないかという思いを新たにした。」と述べ、中央清掃(有)の横山社長も「建物解体後の利活用に向けて貢献したい」と抱負を語った。
空き家等の解体で処分された家財は、資産価値のあるものは古物商の免許を持つ株式会社福副が販売チャンネルがあるアジア等の国で販売(リユース)し、一般廃棄物となるものは中央清掃有限会社が処理を行う。家財は数十万円規模での売却となる場合があるとした。