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米沢市南原笹野地区に太陽光発電事業を計画しているGreenvolt Solar Japan株式会社(スピリドン・マルティネス代表取締役、以下GSJ社、住所:東京都港区六本木3、資本金7,795万円、設立2023年7月、本社:ポルトガル)の事業計画に対して、南原自然環境保全推進協議会 我妻康次会長、南原有志の会 安部博彦代表ら11名が、5月7日米沢市役所を訪れ、近藤洋介米沢市長に「笹野太陽光発電事業計画中止に関する要望書」と計画中止を求める3,149筆の署名簿を提出した。署名簿は、令和7年2月に集めた。(紹介議員は、髙橋千夏米沢市議会議員)
(写真右=要望書を読み上げる南原自然環境保全推進協議会 我妻康次会長)
我妻会長は、南原自然環境保全推進協議会での討議の結果、地区の総意として事業計画を中止することを決定し、令和7年3月27日にその旨を事業者に通知したことや、計画中止を求める署名活動により、3,149名の署名が集まったことを説明した。このうち南原地区の人口は3,485名(令和7年4月末時点)で、南原地区からの署名簿は1,333名分だった。
(写真左=近藤洋介米沢市長に署名簿を手渡す南原有志の会 安部博彦代表)
我妻会長は、計画中止を求める理由として、永年にわたって守り受け継いできた自然豊かな環境は、南原の観光地などの活性化、及び地区で進めている南原芸術の杜計画・南原未来作り計画などの基礎、地域の重要な資源であり、これを保全し、次の世代の子供たちへ引き継いでいかなければならない責任があるとした。
さらに懸念事項として、大規模太陽光施設の建設は、「自然環境豊かな景観」を大きく損ない、地域活性化に向けた諸活動に致命的な影響を及ぼすことや、斜平山、吾妻山、栗子山を眺めて豊かな自然が実感できる景観を損ねる。さらに、米沢市景観賞を受賞した南原郵便局に隣接するため、景観を破壊することを挙げた。
昨年10月と12月に開催された事業説明会で、住民から出された多くの質問や懸念事項(太陽光パネル仕様、有害物質含有有無、反射光、反射熱などの近隣住民への悪影響、自然災害発生防止策)などに対し、GSJ社から明確な返答、具体的な対策、計画の提示が一切なく、住民に寄り添う姿勢がなく、信頼できない、安心、安全な設備とは言い難い状況と述べた。
我妻会長は、近藤市長に対して、山形県への事業計画中止の働きかけ及び情報共有を要望した。また我妻会長らは、これまで事業の許認可権限を持つ山形県とも何回か話し合いを持っているが、この5月21日(水)午後3時に、山形県に事業計画中止を求める要望書を提出する予定である。
懇談で近藤市長は、「住民と事業者がしっかりとしたコミュニケーションを図らなければ、再生可能エネルギー事業はできない。(GSJ社には、)米沢市民と十分意見交換を行ってもらう必要がある」と述べ、「真摯に地域貢献に向き合っていくことが肝要である」と述べたが、「米沢市として賛成、反対を表明できる現状ではない」とした。
(写真右=挨拶する近藤洋介市長と出席者)
南原在住の女性は、「南原は四季折々の風景が素晴らしい。この度の計画でメガソーラーが計画されていると知り衝撃を受けた。企業が外資であることもすごく心配になった。全国的に乱開発で住民トラブルが発生している。米沢市がそうならないためにも、(再生エネルギー開発のための米沢市が作成している)ゾーニングにも、地域の意見を反映した設定、米沢市独自の条例が必要ではないか」と発言した。
近藤市長は、「外国企業に土地を売却できるのは先進国では米国と日本くらい。」と述べ、日本の法体系に関して課題も浮き彫りとなった。
説明会で配布されたGSJ社の事業計画内容は、米沢市笹野地区のNTT東日本南原電話交換所と南原郵便局の間の土地面積21,703㎡に、野立て型の太陽光発電を建設するもので、パネル数3,510枚、パネル容量2,457kW、想定発電量約2,799,356kWhを予定する。
(写真右=太陽光発電事業予定地、遠方は斜平山の景観)
事業予定地は、東側を米沢市道諸仏大平線、西側を山形県道2号線米沢猪苗代線に挟まれた場所で、近隣には住宅、耕作地、森林が広がっている。境界からパネルまでは、距離約4mを設け、景観の影響や圧迫感などを軽減、山形県道2号線米沢猪苗代線に通る東北電力の送電線網へ接続し、設備も目立たない所に設置を予定する。
工事のスケジュールは、造成工事が2025年5月〜6月、設置工事同年6月〜7月、検査時期同年8月〜9月、発電開始同年9月〜2045年9月までの20年間、事業廃止2045年10月予定だが、住民との合意形成、最終的な許認可が降りていない現状から、工事の着工は先になると思われる。工事車両は、早朝夜間、通勤通学時、交通安全に十分配慮し、廃材処理、強風対策、降雪対策についてそれぞれ述べている。
国土利用計画法に基づく土地売買等届出は、2023年12月26日に米沢市地域振興課に対して行われ、2024年1月24日付で、通知書をGSJ社が受理済みとなっている。
完成後の管理として、周囲に1.4mのフェンス設置、定期的な草刈、緊急時の対応、監視システム、地域共生として、地域の方に除草作業や雪下ろし等の業務依頼を行うこともあるとしている。発電事業終了後に関しては、2045年9月に廃止し、リサイクル、廃棄物処理法に従い、解体を行い、土地は現状復旧する。
事業計画書では、地元へのメリットとして、電気技術主任者、維持管理、草刈、パネル洗浄、設計・調達・建設などの事業で、地元の人々や企業に雇用の創出が期待できると回答している。
昨年10月13日に40名参加、12月1日に30名が参加し、南原地区で説明会を開催した。GSJ社の計画書には、再生可能エネルギー発電事業に係る関係法令一覧が示され、該当の有無、現状、確認手続先などが示されている。