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竹田 歴史講座

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ローズレーン代表 黒田三佳氏


 東京から米沢に移住し、おもてなしや大学、地域でのキャリア支援を行うローズレーン代表の黒田三佳氏に米沢の魅力について伺った。

ーーローズレーンについて教えて下さい。

黒田氏 米沢に来てからご近所の方に「孫に英語を教えてくれないか」と言われ、2003年頃から子どもたちに英語を教える「南原英語塾」を始めたのがきっかけです。これが私にとってコミュニティビジネスの原点であり、イギリス・オックスフォードにあった小道「ローズレーン」から名付けました。その後、里山での生活やこれまでのキャリアを活かしたおもてなしやコミュニティビジネスを支援するセミナー、実践をスタートしました。

ーーどのような活動をしていますか。

黒田氏 英語塾の教材は自然であったり、歌であったり、外に出て遊びながら教えた方がいい子もいます。米沢にある"人"・"もの"・"こと"を生かした指導を心がけています。

 私は山形の良さを世界に発信することと出会った人のキャリアを輝かせることを目標に取り組んでいます。全ての人材育成の基盤は、礼儀と作法(マナー)、つまり精神とそれを表す形と確信しています。米沢にはそれがあります。私自身、ここで育てられましたし、それを論文にしました。

ーー黒田流の「おもてなし」とは。

黒田氏 山形の食べもの、場所といった魅力を直球で伝えるのもいいのですが、自分なりのスタイルを加え、山形を伝えていければと思っています。例えば「おもてなし講座」は、知り合いや都市部出身の方を招いて、野菜を収穫して頂いたり、ピザを焼いたりして、自分で穫ったものを食べて頂き、里山ならではのおもてなしの心を養ってもらう活動を行っています。

 「おもてなし」ではごちそうを出すこともそうですが、その方に居心地がいいと感じてもらえ、訪れた方が「ありがとう」と素直に言える環境が必要です。また、東京では一年中様々なものが買えてしましますが、その土地やその時期といった季節を盛ることも一つの要素です。それが揃っている米沢では、本当のおもてなしができるのです。

 そしてなによりもお客様を一方的にもてなすのではなく、相手と自分の双方向が喜びあえることが重要です。おもてなしの輪がぐるぐる回っていくために頑張って参りたいですね。

ーー東京を離れ、米沢に来られたのはいつですか。理由はなんでしょうか。

黒田氏 東京で生まれ育ち、田舎がなかったので「東北に行ってみたいよね」と、1995年に米沢や置賜各地を旅行に訪れました。そこには恵まれた自然や温かく受け入れてくれる人たちがいました。私にとって故郷を見つけられた旅であり、そのたった1度の旅がきっかけで山形に魅せられ、ここに引っ越さなければ後悔すると思ったんです。

 その後仕事の関係でデンマークに移住しましたが、ずっと忘れられずにいました。「米沢で子供を育てたい」と夫にうちあけたのが移住するきっかけでした。

 実際に暮らしてみて感じたことは、東京には見る場所や買い物をするところがたくさんあるので働き疲れの気を紛らわすことができます。しかし、米沢はいい意味で気を紛らわさなくてもいいところでした。自分に向き合い色々なことを深く考える機会を与えてくれました。現在は東京から父親を呼び一緒に暮らしています。

ーー黒田さんがいう「STEPSメソッド」とは何でしょうか。

黒田氏 スマイル(笑顔)の「S」、サンキュー(感謝)の「T」、エクスキューズ ミー(謙虚)の「E」、プリーズ(互譲)の「P」、スタディー(学ぶ)の「S」の5つの頭文字を掛け合わせたものです。米沢での暮らしは、いつも笑顔で迎え入れてくれます。そして「おしょうしな」の言葉があるように、常に誰かに感謝していることが多いです。また、「私が、自分が」というのではなく、謙虚さがあり、譲り合いの精神が強いです。もし分からないことがあっても周りの方が教えてくれたり、励ましてくれます。

 これは里山の暮らしや活動を通して感じたことで、人間教育の要素がたくさんありました。社会生活を送っていく上で、「STEPSメソッド」で私自身成長しましたし、他の地域においても規範となることだと思います。米沢は素敵な町でスピリットを感じます。

ーー黒田さんご自身、そしてローズレーンの夢は。

黒田氏 世界中で持続可能な社会を営むため、自然豊かなところで過ごすエコビレッジという言葉がありますが、まさにそれが日本で言う里山なんです。私自身も移住した父や仲間と家の裏に原方衆の意志を受けつぐかのごとく屋敷畑を作り、農作物を育てたりしていますが、里山での暮らしは近隣の方とのお付き合いも増え、コミュニティが広がります。

 ここに暮らして、エコロジーや温暖化など日本だけでなく世界的な問題、課題を解決できるヒントは里山にあると感じました。「無理だから」と言わず、自ら行動する人が増えていけば決して難しいことではないと考えています。そのために、この米沢から精一杯のおもてなしを広げ、里山の良さと米沢の精神を世界に向けて発信していきたいですね。

くろだみか
 東京都出身。文学士(英文学)、修士(工学)。大学卒業後、国際線乗務員、デンマーク在住後、一度の旅で感銘を受けた米沢に家族で移住。自ら里山に暮らし、里山構成要素の人材育成に果たす役割りを研究。(修士号取得)