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山形県内では、令和6年、7年と2年連続で、さくらんぼの「佐藤錦」他が花蕾期の高温障害により凶作となり、軟果も多発し品質低下を招いた。
上山市楢下在住の発明家、鈴木嘉光氏は、このほど、「さくらんぼ」を始めとする果樹や農作物全般で、地球温暖化や異常気象によって引き起こされる悪影響を回避する自身の特許技術2件について、山形県内の果樹経営者に限定し、令和8年4月から令和9年6月までの期間、特許技術の閲覧使用を許諾すると発表した。(写真右=鈴木嘉光氏)
鈴木氏が許諾する特許は、令和5年9月28日に特許が成立した「遮光による凍霜害の回避法」、及び令和6年10月18日に特許出願公開された「水活用による果樹の結実安定化法」の2件。
特許技術の閲覧使用に関して、鈴木氏ヘの届け出、報告、使用料は不要。但し、他者へこの特許内容を伝達する時は、発明者(鈴木嘉光氏)の明示を遵守する必要がある。
鈴木氏は、42年間、山形県職員として果樹の研究、教育、指導等、県内各地で活躍し、今年3月31日付で退職、現在は自身の果樹園で引き続き、研究、発明活動を展開している。鈴木氏は、過去2年間、高温障害により被害が著しい果樹(さくらんぼ等の核果類)の改善技術に関する特許について、米沢日報元日号の新聞や米沢日報デジタル(インターネット)に自身の特許内容を掲載し、注意喚起を図ってきたが、2年続けてさくらんぼの作柄が凶作となった状況に鑑み、自身が持つ知的財産(特許権)等について、山形県内限定で使用解禁に踏み切ったもの。
また間もなく公開予定の3件目の特許(令和7年8月4日出願)についても、さくらんぼの高温障害回避に有効であるため、農家は関心を寄せて欲しいと話している。鈴木氏の特許内容は、特許庁が公開するインターネット上で閲覧し、3件目も上記2件と同様の条件で公開後に使用を許諾する。
(写真右=遮光による凍霜害の回避法の特許証)
鈴木氏へ質問がある場合は封書で送付してほしいと述べている。
問い合わせ先:〒999−3225 上山市楢下74 鈴木嘉光さんまで。
鈴木氏との一問一答
Q. 来年以降も、太陽フレア(増光現象)等による農業生産への悪影響が懸念されていますが、これからどのように対処していったら良いのでしょうか。
鈴木氏 間もなく公開される3件目の特許(令和7年8月4日出願)をご覧いただきたいと思いますが、特に週間天気予報に注意して特許技術を励行することです。春に花芽が動き始めたら、棒温度計で家の前と樹園地の日の当たる高さ1.5m地点に設置し、気温観測を習慣化することが重要です。4月中旬頃の花蕾期約10日間が勝負です。
特に、凍霜害と高温障害の発生はほぼ同じ時期で、共に一日でも怠ると一年が台無しになる他、次年度以降にも大きく影響します。収穫後の夏〜秋にかけて、葉の保護が重要で、充実した花芽、養分を蓄積した状態が基本で対策成功のカギになります。
(写真左=令和6年、高温障害を回避する特許技術の実証実験を行った80αのさくらんぼ園では、すべての品種が豊作となり、品質も大変優れる結果となった。)
Q.令和7年8月に、新たな特許を申請したと聞いていますが。
鈴木氏 そうなんです。太陽フレア(増光現象)の影響が大きく、最近の夏が異常に暑いのが証明している通りで、危機管理の必要性を感じたからです。
太陽フレアは11年周期で、このたびのサイクルが2022年から増光が始まり、2025年7月が大極期となり、暑さのピークであることを文献で知りました。サクランボの障害が始まった時期、被害度の増加現象がほぼ一致していることに気づき、今後数年は続くのではないかと心配したからです。背景には、温室効果ガスの影響で熱(赤外線)が宇宙に抜けにくくなったことも影響していると思います。そのため、昨年に出願した特許申請内容を大幅修正し、経費や労力を多くしないで誰もが容易に実施できる発明技術にして、改めて特許申請しました。今回は特に、高品質生産と凍霜害との区分について意識した内容となっています。
Q. 3件目の特許は、いつ公開されるのですか。待ち遠しいですね〜。
鈴木氏 特許申請時に、早期公開申請も行ったので、令和7年11月上旬ころと期待しています。先日、方式審査をパスした、と知りました。
Q. 鈴木さんが出された特許2件については、これまで米沢日報元旦号で報道してきましたが、3件目となる特許(申請中)についてもその内容を詳細に来年の米沢日報元旦号で報道したいと思いますが、いかがでしょうか。
鈴木氏 大変、光栄にうれしく思います。こちらこそよろしくお願いいたします。他の多くの報道機関が、日夜、頑張っている農家の皆様のため広く丁寧に広報に尽力されることを期待しています。短時間であれば、講演依頼にも応えていきたいと考えています。
Q. 最後の問いになりますが、なぜ、鈴木さんは公務員でありながらも特許を取得してまで、現状打開に当たろうとしたのでしょうか。
鈴木氏 私の先祖をたどると、足利将軍家の末裔かつ石田三成の直臣とされるからです。(笑い)
書名『拙者、サムライでござる』を出版予定です。その中で、特許申請原本及び当家の古文書も開示したいと思います。